「確定申告はヤバい」って聞くけど、実際何が大変なの?【開業初年のライターの場合】

TwitterイラストレーターさんやYoutuberさん、筆者のようなwebライターをフォローしていると、この時期に全員が叫び始める言葉がある。それが「確定申告」だ。

確定申告。企業で働いている方や、学生さんには馴染みのない言葉かもしれない。
入社面接で「好きな四字熟語は?」と訊かれて「確定申告です」と答えようもんなら「ほう…君、おもしろいね」となることうけあいだが(この発言に責任はとれない)、なぜこの時期に、みなこぞって「確定申告」と叫びだすのだろうか。

しかも次に続く言葉はおおむね「いやだ」か「つらい」だ。地獄の釜の底でももうすこしヌルいと言わんばかりに苦しんでいる人もいる。

そこで、この記事では「確定申告ってどんなもんよ?」という話とともに、実際に去年の今頃ものすごく苦しんでいた筆者の、阿鼻叫喚のレポートをお届けしたい。

筆者自身は開業してからまだ2年目で、自動車でいえば初心者マークも剥がせないような有様だ。節税のノウハウや、帳簿付けのコツなどは到底お伝えできない。
これは「確定申告のことぜんぜん知らないし、今のところ縁もないけど、皆が何に苦しんでいるのか知りたい」という方向けの記事だ。
デスゲームの観客のような気持ちで、ワイングラス片手に猫ちゃんでも撫でながらお読みいただければ幸いである。

(それとも、あなたも確定申告を行う個人事業主せんゆうだろうか。なあ。あんたは何月からレシート溜めてるんだい、へへ…焚き火にでもあたって傷を舐め合おうや……)

この記事は、アドビさんのPR企画「僕と私の確定申告」に参加しています。

 

 

そもそも確定申告ってなに?

確定申告の目的は、「このくらい稼いだから税金○円おさめま〜す」と国に伝えて、実際にお金を納めたり、納めすぎている場合はその分を返してもらったりすることだ。

毎年、会社員やパートタイムの方には、年末調整の紙が回ってきて、名前や住所のほかに保険料、扶養家族がいるかなどの事項を記入しているかと思う。
それを筆者のような個人事業主フリーランスで働く個人)や、副業収入が多くある人などは、自分で計算して納税額を申告しなければいけない。

そして(ややこしい話だが)、税金は「所得」にかかるのであって「収入」にかかるわけではない

この時点で「ややこしい、意味がわからない」と思う方もいるだろう。筆者もそうだった。

具体的に説明すると、筆者はフリーライターなので、収入の多くは「原稿料」だ。
原稿(皆さんから見て「記事」)を書くためには、取材に出かけたり、紹介する商品を買ったりする必要があり、この「仕事をするために払ったお金」を「経費」と呼ぶ。

つまり、「原稿料」から「経費」を引いたお金が「所得」となり、経費をちゃんと計算しないと、税金を必要以上に払わなければいけなくなるのだ。

フリーライターの確定申告作業は、だいたい会計ソフトに「経費を登録」と「収入を登録」して、それを帳簿として提出する流れ。文章で書くと1行だけど、これがとんでもねえのである。

去年の筆者に実際に何が起こっていたかを聞いてほしい。

 

「事業主貸」と書いて「プライベートで使ったお金」と読めるか

個人事業主として仕事を始める人は、国に「開業届」というものを提出する。
その後青色申告承認申請書」という、漢文か?というくらい長い名前の書類も出すのだが、これは要するに「細かく帳簿つけるから、そのぶん税金を優遇してちょ〜だいよ」とお願いするためのものだ。
(ちなみに「青色申告承認申請書」は開業してから2ヶ月以内に送らないと、その年の税金はあんまり優遇してもらえないどころか、そもそも提出すべき書類が変わるというトラップが張られている。戦いはすでに始まってるってワケ……。)

個人事業主の帳簿付けを助けてくれるのが「会計ソフト」。これがないと、確定申告の際にお金の計算などをすべてアナログで行わなければならない。
筆者の美容師さんが「開業したての頃、確定申告書類を手書きで提出したことがあるんだけどね……本当に、地獄だったよ」と、苛烈な戦局をくぐり抜けてきた老戦士のような顔をしていたことを鮮明に覚えている。

会計ソフトは買い切りでPCにインストールするものや、サブスクリプション形式で登録できるものなど、機能やデザインで選択肢がいくつもある。これを選ぶ時点でポケモンの冒頭くらい悩んだ。

口コミを集めるものの、聞けば聞くほどわからなる弱者こと筆者(けっきょくトップページのデザインの良さで選んだ)

 

会計ソフトを導入したら、まず行うことは銀行口座やクレジットカードの同期。
要は「クレジットカードを使ったら、その明細が会計ソフトにすぐに反映されるようにする」ことだ。
最近のソフトは非常に優秀なので、取り込んだ明細ひとつひとつを分析して「こういう目的で使いましたね?」とサジェストしてくれる。
間違ってなければ「そうで〜す」とそのまま登録して、違っていたら「いえいえ、目的はこれで〜す」と修正する。

ここで出てくる考え方に、「勘定科目」というものがある。こいつが本当に癖者だ。

勘定科目とは、ざっくりいうと「お金の用途はなにか」を分類したもので、たとえば取材に行く際の電車代や、打ち合わせで使ったカフェのコーヒーなど。
しかしこれを「電車代」や「コーヒー代」などと気軽に呼ばせてくれるような確定申告ではない。あいつは友だちなんかじゃない。
相応の名前をつけて分類する必要があり、たとえば

電車代→旅費交通費
コーヒー代→会議費

といった具合だ。この程度ならまだいい。
インターネット料金やサブスクリプションの支払いは「通信費」だし、「プライベートで使ったお金」に至っては「事業主貸(じぎょうぬしかし)」なんて見慣れない単語を割り振らなければならないのだ。

考えてみてほしい。今までの人生で、スーパーで卵と牛乳を買うのに「事業主貸♪」と思ってお金を払ったことがあるだろうか?
確定申告の沼にハマるとそうなる。これは恐ろしいことだ。

 

レシート、それは負の具現

開業したてでレベル1の、まだ初期アバターで右往左往している個人事業主に向けた記事を読むと「まずは、プライベートの口座と仕事の口座を分けましょう」とアドバイスされる。
それはそうだ。年間何百回行っているのかわからない支払いの一つ一つに、これは経費……これは経費じゃない……と組み分け帽子さながらの仕事をするよりも、「この口座から出しているということは経費だ」と判断する方が容易い。

しかし現実はそうもいかない。
きっと経験があるだろう、クレジットカードで支払おうとしたら「うち、現金だけなんです」と言われるお店や、「今ならPayPayで○%還元!」なんてキャンペーン。
そうか、じゃあ現金で支払います。PayPayで支払います。そこで事業用のクレジットカードの出番はない。結果的に、大量のレシートを見ながら「これは現金……これはカード……」と仕分けをすることになる。

脳内イメージ HPゲージがアホ長いボスを1撃ずつ削っていくような作業

最近の会計ソフトは、レシートをスキャンするだけで現金支払いの会計を帳簿につけてくれるが、「間違えて同期済みのクレジットカードで支払った明細を登録すると二重会計になる」なんてトラップもある。
ここはダンジョンなのか?どうして一歩進むたびに試練が待ち構えているのか?義務教育で簿記を教えてくれなかったのは何故?そんな叫びは誰にも届かない。だって筆者は個人事業主で、ここには筆者以外に誰もいないのだから。

と思いきや、歴戦の勇者(開業十数年目の個人事業主)たちの遺言のようなアドバイスを、SNSで拾えることもある。

最終的には、提出の締め切りが迫る3月の頭に、1年分のレシートを全て並べて処理をしていくことになった。

幸いすべてのレシートや領収書をとっておいていたので、数百枚の紙切れを時系列順に整理して、一枚一枚精査するという本当に……ほんとうに「それだけ」の仕事だ。筆者が舐めた辛酸でタイ料理屋が一軒立つ。

何が辛いって、この紙の一枚一枚すべて「自分がお金を払った証拠」なのだ。
これらは具現化したマイナスだ。マイナスの証明のくせに束になった紙は分厚く、無印良品で買ったドキュメントファイル(勘定科目:事務用品費)は、すぐにボタンが締まらなくなった。アコーディオンさながらに開いて雑多な書類を見せつけてくる半透明のファイル。あいた口がふさがらないのはこっちなんだよ。


経費でできていく身体、お嬢様になりゆく脳

フリーライターをしていると、妙なレシートがいくつもできる。
筆者はふだんオモコロや、デイリーポータルZなどで書いている面白メディアのライターなので、特に様子がおかしい。

たとえば、牛乳を一本だけ買っているレシートだ。
これは一見プライベートの出費のようだが、そうではない。カクテルを作る記事のために、割り材として購入したものだから、立派な経費だ。

その他にも、ひき肉を買ったレシートや、大量の野菜を買ったレシートなんてのもゴロゴロ出てくる。このあたりでだんだん不安になってくる。

これらは仕事で使ったとはいえ、最終的には筆者が食べたものだ。自分の血肉となったものを「経費」と計上するのはいささか冒涜的なのではないか?

これは会計処理の問題ではなく、筆者のメンタルの話だ。気にしすぎるきらいがあるので、こういうことを考え始めると気が散って業務に集中できなくなる。
自宅で仕事をし、食べ物や日用品を紹介する記事を書いていると、どんどん生活が切り売りされていき、もはやこの肉体の一部は経費でできているようにすら思えてくる。

さらに恐ろしいことに、帳簿付けを行っている間は本業の原稿がまるで手付かずになっている。

筆者のメンタルに限界がきたのは、推し(具体的には空条承太郎のフィギュアを計上しなければいけなくなった時だった。
ネットで調べる限り、記事の企画で使ったこのフィギュアは「消耗品費」らしい。消耗……?空条承太郎は決して消耗なんかされないが???

なにもかもがわからなくなって、緊張の糸が切れた筆者が切ったカードはこれだった。

脳内にお嬢様を召喚した。

会計処理が辛いなら、脳内に別な人格を作って、そいつに任せたらいい。
残念なことに、筆者の脳内でお金に強そうなのはお嬢様しかいなかった。

オーッホッホッホ!レイ財閥のジューンですわ!このわたくしにかかれば会計処理なんてお茶の子さいさいでしてよ!まずは思い切って税務署に電話してみましたわ〜!!
税務署のじいや曰く、空条承太郎のフィギュアは(最終的にどなたのお屋敷へ招かれるかによって)「取材費」「消耗品費」または「立替金」のどれかになるそうですわ♪「取材費」なんて便利な科目がありましたのね〜ッ♡

(他の用事の問い合わせの際に電話に出てくれたのが偶然税理士さんだったため、勇気を振り絞って訊いてみたら親切に教えてくれた。この記事を読んでいる方の多くが思っていることだろうが、脳内にお嬢様を召喚する前に現実の税理士さんに依頼した方が良いに決まっているのだ。)

2022年3月8日(申告締め切り一週間前)の筆者の日記でその時の状態がありありと見て取れる。「事業主貸」を「勘定主貸」とか書いてる時点でこいつはもうダメだ。


大量の請求書やレシートとの戦い以外にも、「固定資産台帳の管理」(カメラやPCなど高額の買い物は資産として減価償却する)や、「家事按分の計算」(家賃や通信費など、仕事とプライベートの両方で使っているものの割合の算出)など、中ボスクラスの戦いがちょいちょい挟まる。
取引先から送られてくる書類には間違って捨てると詰むものもあり、それらを全て処理したとしても、先にあるのは「足りなかった分の税金の追加納付」かもしれないのだ。

ここまで読んだら、タイムラインの個人事業主たちが一体何に苦しんでいるのかがよく分かるだろう。

繰り返しになるが、できることなら顧問料を支払って税理士さんに依頼するのが賢明だ。

 

大量の書類に悩んでいる方にはAdobe Acrobatがおすすめ

とはいえ、顧問料もそう安くはない。
筆者のような開業して数年目の個人事業主などは特に、自力でググってなんとかしようと思っている方が大半のはずだ。そして(人によっては)大量のレシートに埋もれることになる。

この記事はAdobe AcrobatというPDF編集ソフトのプロモーションだが、筆者も開業した当時からこのソフトを使っている。具体的には下記のような業務で。

①pdfの読み取り、編集や保存
②複数のpdfの結合
③pdfの容量の圧縮

編集部とのやりとりの際、大量のレシートのスキャンデータを送ることがあるため、特に②の機能は頻繁に使う。これのおかげで「receipt_01.pdf」「receipt_02.pdf」みたいな間抜けな複数ファイルを添付することがなくなった。

しかも、最近では「Adobe Acrbat オンラインツール」として、オンライン上でさまざまな機能を簡単に使えるようになっている。

これからは電子帳簿保存法の関係で、pdf化した書類と向き合う機会も多くなるだろう。
スマートフォンで使える「Adobe Scan」というアプリには、写真を撮ることで書類をスキャンできる機能もある。

OCR機能があり、取り込んだ書類のテキストを自動で認識してくれる。書籍モードを使えば、長文のドキュメントも高品質でスキャン可能だ。

サブスクリプション料金は2023年2月現在、年間払い(月々払い)で税込1,980円。経費にするなら勘定科目は支払手数料、通信費、消耗品費あたり(このあたりの解釈が税理士さんによって異なるのも、確定申告の恐ろしいところだ)

やや割高に思えるが、謎の無料アプリで大切な書類を保存したり、ワイプしてくる広告を律儀に避けながら編集したりするよりもずっと安心で、効率もよいと思う。
見積書や請求書作成などの日常業務にも使える上、トライアルは無料なので、ぜひ一度試してみてほしい。

筆者も去年の春までは、自分が個人事業主として確定申告の沼に沈むとはこれっぽっちも思っていなかったのだ。
人生に関係のなさそうなサービスが、ある日突然必要になることもある。だから今回は、名前だけでも覚えて帰ってくださいね(芸人さんがやるかっこいい挨拶)。

 

……ちなみに今年の確定申告はどうなのかって?
オーッホッホッホ!7月から手付かずのレシートがぜんぶドキュメントボックスに突っ込んでありますわ!人間は愚かですことね〜〜〜!!!!

 


Adobe Acrobatの様々な機能がオンラインで使える、「Adobe Acrobat オンラインツール」の詳細はこちら▼

Adobe Acrobat 確定申告特集ページ

www.adobe.com

Adobe Acrobat オンラインツール

www.adobe.com

●機能1「PDFを編集する」

www.adobe.com

●機能2「複数のPDFをひとつに結合」

www.adobe.com

●機能3「PDFのファイル容量を圧縮」

www.adobe.com

上記以外にもさまざまな機能があるそうですわッ♡ぜひチェックしてみてくださいましね〜!