花瓶タイプ別・切り花をいい感じに飾るコツ【花屋のノウハウ詰め込み記事】

 

 

■はじめに

こんにちは、JUNERAYです。

こちらは元花屋の筆者が、おうちでお花をいい感じに飾るための考え方やノウハウ、小技についてをまとめた記事です。
切り花の取り扱い方をざっくりと説明するパートと、ちょっとしたコツまでは無料でお読みいただけます。
その先の有料部分では、花瓶の形別におすすめの飾り方、よくありがちな失敗などを記載しています。
全体的にビギナーさん〜中級者さん向けですので、現役フローリストさんや飾り慣れている方にお読みいただいても、たぶん知ってることしか書いてません。

▶︎目次

---どなたでも読める部分---

■はじめに
■お花飾り基礎編
■よくある失敗(というほどでもない要注意点)

---ここから有料部分---

■ビギナーさんに一輪挿しをおすすめしない理由
■一輪挿しでこなれ感を出すとしたら
■花瓶のサイズ感の捉え方
■花瓶の材質について
■ビギナーさんが扱いやすい花瓶はこの形 ~とりあえずこれ買っとけ~
■花瓶別・使う際の考え方 ①シリンダー型
■花瓶別・使う際の考え方 ②口の広い壺型
■花瓶別・使う際の考え方 ③口の細い壺型
■花瓶別・使う際の考え方 ④皿型
■花瓶別・使う際の考え方 ⑤球型
■花瓶別・使う際の考え方 ⑥山型&砂時計型
■水はどのくらい入れるといいの?
■「花がすぐ萎れた」の理由はだいたいこの3つ
■おわりに

有料部分はこんな感じ 有料部は写真や図解多めで7800字くらいあります(長い)

切花を飾る上での基礎的なポイントについて、筆者の経験や知識を惜しみなく書き連ねましたので、お花を飾りたい人にとって少しくらいはお役に立てる記事になっているはずです。

無料部分だけ読んで「へ〜」と思っていただいても全く問題ありませんので、お暇な時間にでもお付き合いいただけましたら幸いです。

はてなブログの編集画面から有料記事を簡単に作れる機能が実装されたらしい!すごいぞ!

 

■お花飾り基礎編

さて、まずは「切り花の基本的な取り扱い方」について。
この記事では前提として、お花を少しでも長持ちさせることを目標とします。せっかく買ったお花がすぐに萎れちゃったら悲しいですからね。

切り花を買って、水を張った花瓶に飾ったあと、通常は以下の手順でお世話していきます。

①茎の先端を数センチ切り戻す(2~3日に1回/夏場はなるべく毎日

古い切り口は水を吸い上げづらいのと、微生物に汚染されてそこから弱ってしまうことがあるので、2〜3日に1度は先端を切り捨てます。
その際のハサミは、中性洗剤で洗うかアルコールでよく拭き取るかして、清潔なものを使用します(人間でいうと、執刀されるメスが汚かったらヤバいみたいな感覚)。

ちなみに「茎を切るときは斜めに切った方がいいんですよね?」とよく訊かれますが、確かに茎にある程度の太さがあって硬い植物は、斜めに切った方がよく水を吸い上げます。
反対に、茎が細く柔らかい植物は、斜めに切ることで自重で切り口を潰してしまう場合もあるので、水平に切り落として構いません。

また、「花の水揚げは、水を張ったバケツなどの中に茎を入れて、その中で切らなければならない(水切り)」という説もありますが、多くのお花屋さんは空気中で普通に切っています(空切り)。
お花の持ちを研究している専門の方にお話を伺った際も、元気なお花であれば水切りだろうが空切りだろうが大して差は見受けられないとのこと。弱って萎れかけた個体でない限り、水切りは必須ではありません。

ただし、切った茎をしばらく放置するとどんどん乾いてきてしまって、水を吸う力が弱まるため、切り戻した植物はできるだけすぐに清潔な水に浸けるようにしましょう。

②花瓶が汚れていたら中性洗剤で洗う(適宜)
「なんか水がすぐ汚れるな」というときは、だいたい花瓶の方に問題があります。植物と水が入った花瓶の中では、すぐにバクテリアが繁殖して、バイオフィルムと呼ばれるヌルヌルを作ってしまうのです。
水を清潔に保つために、我が家では花瓶用の安いスポンジを1つ常備しておいて、薄めた食器用洗剤で洗っています。
大きい花瓶はお風呂場に持ち込んで、お風呂場用の洗剤で洗ってしまうこともあります。
洗剤の成分が残っているとお花に負担がかかる場合があるので、よく水で洗い流すのがポイントです。

③花瓶の水を換える(夏場は毎日、冬場は2~3日に1回)
水はふつうの水道水を使います(水の量については有料部分に少し追記します)。
その際、切り花用の鮮度保持剤があると花がより長持ちしたり、蕾が綺麗に咲いたりします。

▲我が家で使っている栄養剤はこちら
(この記事のリンクはAmazonアソシエイトのものなので、こちらから買っていただくとご購入者さんの負担なく、Amazonから筆者に小銭が入ります。名前だけ控えて他で買っていただいてももちろんOK。)

花屋時代のお店でも同じものを使っていました。
花瓶の中の水を清潔に保つ効果もあるため、せっかく切花を飾るなら1ボトルは常備しておきたいアイテムです。

切り花のお手入れの原則は「水をきれいに保つこと」
あくまでイメージとしてですが、「常に人間が飲んでもいいくらいの綺麗な水をキープする」ようにします。
夏場は水温が高いのでバクテリアがよく繁殖し、水がすぐに濁るため、ビギナーさんが切り花を飾り始める時期としてはちょっと難易度が高めです。
(とはいえ冬場に飾り始めるのもあまりおすすめしません。この理由も有料部にて解説します。)

 

■よくある失敗(というほどでもないミス)

ふだんSNSなどで写真を見て、「それはやらない方が切り花のお世話が楽だよ……!」と思う状態があります。主に下の写真の2つ。

それぞれ、どこに改善の余地があるかお分かりでしょうか。

まずは左側の、フラスコ型の花瓶の方。

黒い矢印で指した部分。花瓶の口が小さいため、葉が密集して通気性が極端に悪くなっています
花瓶の中には当然水が入っているので、なかば密閉された中の空気は湿度が高くなり、やがて茎にカビが生えます。
いちどカビに侵されると、相当生命力が強い種類でない限りそのまま弱ってしまうため、花瓶の通気性は意識して使う必要があります。

改善方法としては、花瓶の口にかかる葉っぱを切り落としてしまう、または口の広い花瓶に替える、などが考えられます。

こちらの花瓶は口が広く、一見通気性が確保されているように見えますが、葉が水に浸かっています。
多くの植物の場合、葉が水の中にあると、水がすごいスピードで汚れますバクテリアに分解された葉がドロドロに溶けてくることも。

水に浸かる部分の葉は切り落とす、水が少なくても大丈夫な植物(後述)であれば水の量を減らす、などの対策が取れます。

ちょっと勿体無く感じますが、花瓶の口より下にくる部分の葉は全て切り落としてしまうのが安心です。

 

さて、ここからは花瓶の形別に、お花の飾り方を考えていきましょう。

自宅で飾るものですから、もちろん完全な正解なんてものはありません。飾った方自身が「いいな」と思えばそれで完璧です。
とはいえ、活用するのが難しい形の花瓶や、実は使いやすいのにそこまで脚光を浴びない形の花瓶も、まあまあ世の中にあるもの。

それぞれの使い方のポイントを、実例写真を交えながらご紹介します。

 

■ビギナーさんに一輪挿しをおすすめしない理由

これからお花を飾ろう!と思ったとき、ビギナーの方に特に人気なのが「一輪挿し」。ちょうど切花を1〜2輪飾れるほどの、小ぶりで手頃な花瓶です。

ですが一輪挿しタイプの花瓶は、家に置く1つ目の花瓶としてはあまりおすすめできません。

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