【酒屋さん監修】「世界一やさしい日本酒入門」を目指して、資料を作ってみました
こんにちは、JUNERAYです。
皆さんは日本酒がお好きですか?私は大好きです。夏の午後、プールへ行った帰りにアイスを食べて、クーラーの効いた部屋でする昼寝くらい好きです。
長いことお酒や飲み物にまつわる仕事をしていて、ありがたいことにビギナーさんにお酒の基礎知識や美味しい飲み方などのレクチャーをさせていただく機会も増えました。
日本酒についても何度か解説記事を書いているのですが、実は毎回ぶつかる壁(でかい)(かたい)があります。
まじこれ。
馴染みのない専門用語がたくさん出てくるだけでなく、そのいちいちが「特別本醸造」とか、「山卸廃止酛」とか、墾田永年私財法か??ってくらい漢字の繋がった用語だらけ。ぷよぷよだったら連鎖して消えてます。
ビギナーさんの中には、「日本酒のことが知りたいと思って入門書を買ったけど、ちょっと読んだだけで投げ出しました」なんて方も少なくなく、レクチャーする側としてはなんとかしてそのハードルをバキメキョに折っておきたいところ。
そこで筆者は考えました。
「できるだけ難しい情報を排除した、ビギナーさんが読んでも「イヤッ!」とならない資料を作れないものか」と……。
もちろん、日本酒について分からないことがあれば店員さんに訊くのがベストですが、慣れないうちは緊張してしまうもの。そんなときに、少しでも頼りになる資料が手元にあったら……さらにその資料をもとに自分で選べちゃったりなんかしたら……最高じゃね!?という作戦です。
ちょうど近々、浅草橋の酒屋・SAKE Streetさんでビギナーさん向けのワークショップを開催する予定。
願ってもない機会!ということで、SAKE Streetの二戸さんにお願いして、ワークショップ用に作成した資料の監修をしていただくことにしました!
左側が二戸さん。SAKE Streetさんは、東京大学農学部味覚サイエンス研究室との共同研究で、自分の好みの日本酒スタイルに出会える「酒ナビ 好みの日本酒発見診断」をリリースするなど、ビギナーさんにたいへん親切な酒屋さんです。
ちなみに筆者は前職が花屋&バースタッフで、資料らしい資料は作ったことがありません。はたして実用に耐えうるものができるのか!!?
これは、PDFツール「Adobe Acrobat オンラインツール」を展開するアドビの「みんなの資料作成」企画に参加しているPR記事です。
今回作った資料もIllustratorで作成→Adobe Acrobat オンラインツールでpdfに変換しているよ!
ビギナーさん向けの日本酒資料を、日本酒のプロに見てもらう
〜あらためて、この記事に出てくる人の紹介です〜
【JUNERAY】
筆者。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、SAKE DIPLOMA(日本酒・焼酎特化の認定制度)などの資格を有しているため、酒についてはわずかに知識がある。資料作成はほぼ初めてで、文字のポイントを何ポイントで書いたらいいかわからない。
【二戸浩平さん】
浅草橋の酒屋・SAKE Streetさんのスタッフであり、同名の日本酒Webメディア・SAKE Streetの編集長もつとめる日本酒のプロ中のプロ。WSET SAKEにてLevel3の資格を持つ。二戸さんが書かれる記事はとても面白いのでぜひ読んでほしい。
資料を1ページずつ読みながら、二戸さんにご意見をいただきます。皆さんも(文字がちっちぇ〜〜くて申し訳ないのですが)ご一緒に資料をご覧ください!
こんにちは!いま企画している「ビギナーさん向け日本酒ワークショップ」ですが、配布資料を作ってみたので、ご覧いただいてもよいでしょうか?
こんにちは!おお、ぜひ見せてください!
ワークショップ中のレクチャーで使うだけじゃなく、家に帰ってからも役立つ情報が書かれた、実用的な資料になるといいな〜と思いまして……まず1ページ目がこれです。
資料その1 まずはチャートで全体像を掴んでもらいたい
資料1ページ目はお酒の種類のきほんから
(A4印刷用の資料なので、スマートフォンなどからご覧の方は小さくてすみません!グワーって拡大しつつご覧ください)。
なるほど、かなりざっくりとした図解ですね。
専門書の細やかさが「大根おろし」くらいだとしたら、「おでんに入ってる大根」くらいのざっくり感となっております。
専門書だと、序盤で説明される「麹と酵母の違いって?」みたいな部分も大幅に省略して、原材料→できるお酒→さらに蒸留するとできるお酒というフローチャートにしました。
ビギナーさんからしたら、このくらいのシンプルさが有難いのかもしれません。僕たちからすると省略されている部分がかなり多いですが……
以前、20代前半の方に「ウイスキーって何からできてるか知ってる?」と質問したら、「なんか……木?木でできてるお酒?」って言われて。
あー!!「ミズナラ」とかいいますもんね。樽のイメージなんだ。
「なるほど、そこから説明するといいのか!」と膝を打ったので、身近なビールと繋がってるお酒なんだよ、とイメージしやすいようにしてみました。
「そういうことなら、いい図だと思いますよ」と好反応。やったね!
資料その2 「日本酒のラベル、まじまじ読んでも何が書いてあるか分からなくない?」のはなし
次のページでは、ビギナーさんが日本酒のラベルを読めるようになるために、まず初めに押さえるとよい3つのポイントについて書きました。
なぜこの3つかというと、「日本酒のラベルを解読するために避けては通れない知識」と思っているからです。お酒全般そうですが、ラベルに何が書いてあるのか分かるようになると、自分で買うのが一気に楽しくなりますよね。
▼JUNERAYが考える、ビギナーさんが押さえるとよいポイント
①お米の磨き具合
②火の入り具合
③蒸留酒が入っている/いない
味や香りの表現でなく、まず「ラベルの読み方」から入るんですね。
自分がビギナーだったとき、お酒の棚を前にした時の圧倒的な無力感って「何が書かれてるか全く分からないこと」が原因だったなと思いまして……。
なるほど。どんなお酒か分かった上で飲めると、その後のご自身の好みの把握にも繋がりやすいですからね。
あと、よく訊かれる質問として「純米吟醸ってどういう意味ですか?」みたいなのがあって、それに答えるためにはまず「精米歩合(せいまいぶあい)※」の概念を知っていてもらった方がスムーズだなあと。
※精米歩合……お米の磨き具合を示す言葉。精米歩合60%と言ったら、外側を40%ぶん削ったよという意味。
精米歩合はラベルに書かれていることが多い情報ですもんね。味への影響もそうですが、「ラベルを読んで意味がわかる状態になる」と、中身がどんな日本酒なのかの解像度がぐっと上がると思います。
自分がビギナーだった頃を思い返すと、はやく「読める、読めるぞ!」の状態になりたかったです(笑)
ラベルの意味が分かるようになると、酒屋さんは激アツである
資料その3 日本酒は魚に例えると分かりやすい?
3ページ目は、「生酒とは何か?」と、「純米酒とは何か?」についてのおはなし。
②の火の入り具合なんかは、おうちで保管するときの指標になるから覚えておくといいかなと思ってます。
「ひやおろし※」とかの用語は変えようがないので、そのまま記憶してもらうしかなくて申し訳ないのですが……
※ひやおろし……2回目の火入れをせず、夏の終わり〜秋頃に出るスタイルの日本酒。ほどよいこなれ感があり、秋の味覚と合わせるとたいへんうまい。
この、「1回火入れ=タタキ」って表現いいですね!魚で例えるとわかりやすい。
「生貯蔵酒」とか「生詰め酒」とかは、じゃあ具体的にどう味が変わるのかと言われると、ケースバイケースで説明が難しい部分でもあるので、まとめて「1回火入れ」で覚えてもらってもいいと思います。
③の蒸留酒が入っている/いないについても、たとえば「純米吟醸と吟醸って何が違うの?」と疑問に思ったときに、理解しておくと便利! ということで、解説を入れました。
アル添※を良く思っていない方はいまだに多いですが、私はあまりアル添のことを悪く言いたくないので、思い切ってポジティブな効果を押し出してみています。
※アル添……「アルコール添加」の略。日本酒に適量の蒸留酒を加えること。
アル添を悪く言いたくないというのには僕も賛成です。ただ……
ただ?
アルコール添加をしているものと、していないもの(純米酒)とで、ほとんど違いがわからないものもあるじゃないですか。
それは……ある……!!すごい純米酒っぽい匂いがするな〜と思ったらアル添だったり、その逆もありますよね……。
だから、知識として覚えておくのはいいけれど、実際に味わうときにどこまで指標になるかというと、ちょっと難しい部分もありますよね。
資料その4 よくある質問への回答も載せたい!「純米」とか「大吟醸」とかって実際なんなのよ??
それでいうと、次のページの「特定名称酒」の説明についても……?
よくラベルに書かれている「純米」や「大吟醸」などは、各条件をクリアした「特定名称」と呼ばれるものです(これも身につけようと思ったら暗記するしかないので、この画像を見返したりしてみてね/個人使用であれば保存OKです)。
そうなんですよね……本当だったら先ほどの資料の「精米歩合」と「アルコール添加」の知識がここに活きてくるはずなんですけれど、最近は精米や醸造の技術が上がったおかげで、味の違いがほとんどないようなお酒も出てきて。
フルーティーで雑味がないから、純米吟醸か純米大吟醸だと思って飲んでいたのに、実はただの純米酒だった!みたいな。めっちゃ身に覚えある……。
だから、JUNERAYさんの資料に書いてある情報は、「ラベルに何が書いてあるのか」を読み解くのには役立つと思いますが、「実際に大きく味や香りが変わる要素」かと言われると、強く言い切れないところがあります。
た、たしかに……!それじゃあ、ビギナーさんにとって本当に役に立つ日本酒知識って、一体なんなんでしょうか?
日本酒ビギナーさんが注目すべきは、「アルコール度数」?
そうですね……たとえば、アルコール度数をチェックするなんてどうでしょう?ラベルに必ず書いてありますし。
アルコール度数!詳しく聞かせてください。
いま市販されている日本酒って、ざっくり分けると①アルコール度数低めのタイプ、②スタンダードな度数のタイプ、③アルコール度数高めのタイプの、3つがあるんです。
それぞれ①13度以下、②15度前後、③17度以上でしょうか。
ええ、そのくらいです。できたての日本酒(原酒)はアルコール度数が高いから、「割り水」といって、少し水を足してから出荷するんですね。それが15度前後で、発酵が完了したお酒に水を足しているから、すっきりとした味わいの物が多いです。
なるほど。一般的に「日本酒」と言われてイメージするのは、②の15度前後タイプですよね。
逆に①の13度以下タイプは、途中で発酵を終わらせているものが多くて、そのおかげでアルコール度数は低め、やや甘めにできあがる。
うんうん。低アルコールで甘めの日本酒って、数年前から流行しているような気がします。甘酸っぱくて、シュワシュワしてるスパークリングタイプのものも多くて。
そして③の17度以上タイプは、割り水をしていない「原酒」と呼ばれるようなお酒。味のパンチが強くて、玄人さんに好まれる傾向にあります。
「アルコール度数でだいたいのスタイルがわかる」というのは盲点……!
確かに!③のアルコール度数高めな日本酒って、わたしも「飲んでてちょっと疲れるな」と思うことがあります。ビギナーさんは①の、甘さがあってやさしい度数の日本酒から飲み始めると良さそうですね。
度数の高い日本酒は、氷を入れて飲むのもいいですよ。夏場は特に、味の強いお酒よりも、スッキリとした味わいのお酒の方が美味しく感じられやすいですから。
二戸さんのおはなしを元にして追加した資料。ビギナーさんは、13度以下のやさしいお酒がおすすめです。
お店で使えるキーワード「華やかな日本酒ありますか?」
あと、SAKE Streetには「酒ナビ 好みの日本酒発見診断」というものがあって、これは多数の方に味や香りの好みについてアンケートをとって、それを機械学習させたものなんですね。
食べ物の好き嫌いなんかを答えるだけで、おすすめスタイルの日本酒を紹介してくれる診断ですよね。使ってみましたが楽しかったです!
この診断は、12のスタイルから1つがおすすめされるようにできているんですね。その中に、事前アンケートの時点から圧倒的に人気だったスタイルがあって、それが「華やか&フルーティ」だったんです。
へー!!それはアンケートに参加した方に、好みの偏りがあったわけでなく……?
ええ、アンケート結果からどうやら年齢や性別、経験値の偏りなく、多くの人が華やかでフルーティーなスタイルの日本酒が好きだってことが分かってきて。
まだ自分の好みのスタイルがわからないというビギナーさんにも、華やか&フルーティーな日本酒をおすすめするようになりました。
そう言われてみると、私自身もフルーツ系の香りの日本酒は大好きです。
ちなみに私が診断したときは、「チャーミング&ライト」のスタイルをおすすめされたのですが……
「チャーミング&ライト」は2番目に人気ですね。これは先ほど、アルコール度数低めの日本酒として紹介したような、甘味と酸味のバランスがとれた軽やかな日本酒のことです。
キュンとした甘酸っぱさを「チャーミング」と表現してるんだ!かわいい!
しかも、最近のライト&チャーミング系の日本酒は、フルーティーな香りをもつものがほとんどですもんね。無敵なのかも。
よく考えたら、最近飲んで気に入った日本酒はだいたい「華やか」&「フルーティー」か「チャーミング」なスタイルだった気がする……(「華やか」と一口に言ってもバリエーション豊かで飽きない)。
……じゃあビギナーさんは特に知識がなくても、度数だけ見てアルコール低めのタイプを買うか、お店の人に「華やか&フルーティーなタイプをください!」って言えば、だいたいおいしいお酒にありつけるってことですか……!!?
その可能性が高いです!
わー!!今まで頑張って作ってた資料はなんだったんだってくらい簡単だ!!
最初の1本でおいしいなと感じた後に、他にも色々試してみようと思ったら、JUNERAYさんが資料に載せてらっしゃったような知識が活きてきますからね。決して無駄ではないですよ。
そんなわけで、二戸さんにいただいたアドバイスをもとに追加した資料がこちら。日本酒に苦手意識がある方も、この方法をぜひいちど試してみて!
ものすごい有益なお話をありがとうございます。おかげでワークショップ後も有効活用していただけそうな資料ができました!
いえいえ、僕もワークショップの開催を楽しみにしています!
資料作成にはAdobe Acrobat が便利!
さて、今回二戸さんにお送りした資料はAdobe Illustratorで作成し、JPGで出力したもの。ワークショップで配布するために、PDFファイルにまとめておきたいところです。
この記事はAdobe AcrobatというPDF編集ソフトのプロモーションですが、筆者はふだんの仕事でPDFファイルを扱う際も、Adobe AcrobatとAdobe Acrobat オンラインツールを使用しています(理由:この上なく便利だから)。
Acrobat オンラインツールなら、JPGのデータをオンライン上で簡単にPDFに変換できて楽ちんです。←ところで楽ちんの「ちん」て何?←平安時代からの言葉で、「小さい」という意味だそうです。←PR中にググんなし←ごめんて
資料のページ入れ替えも簡単にできるので、ページごとの作り直しや、追加が必要になっても安心。有償のAcrobat StandardやAcrobat Pro、Creative Cloudのコンプリートプランを契約している場合は、「ファイルを結合」の機能を使って複数のJPG画像を一気にPDFファイルにまとめられます。
さらに「Adobe Scan」というアプリを使うと、ワークショップ中のメモ書きをスマートフォンでスキャンしてPDFに変換する……なんてことも可能。
スキャンしたPDFファイルはAdobe クラウドストレージに自動で保存されるので、後でPCからAdobe クラウドストレージにアクセスし、Acrobat オンラインツールを使ってPDFを編集するといったこともできます。
参加者さんからのフィードバックシートの管理にも役立ちそうですね!
人生においてほとんど資料を作ったことがない筆者でしたが、Acrobat オンラインツールを使ってなんとか資料らしきものができました(と信じたいのですがいかがでしょう)。
ワークショップでも大活躍のAcrobat オンラインツール、ぜひ一度使ってみてくださいね!
▼おまけ・作ったはいいものの、本文に載せる場所を見失った迷子のページ
最近チェーンの酒屋さんでも見かけるようになった、「生酛」と「山廃」の味わいのちがいについて二戸さんに教えていただきました。
PRパートを読み飛ばさない、やさしいあなたの役に立ちますように……。